日本小児血液学会雑誌
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初診時より高度の骨髄転移を認め白血病様症状を呈した横紋筋肉腫の1例
柳瀬 卓也中村 利美高橋 弘昭
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1998 年 12 巻 5 号 p. 369-373

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抄録
初診時より広汎な骨髄浸潤を認めた横紋筋肉腫の11歳女児を報告する.症例は全身倦怠感と四肢出血斑を主訴として当科に入院した.入院時身体所見で出血斑以外異常はなく検査所見で血小板減少, 高Ca血症, 高LDH血症, 高尿酸血症を認めた.骨髄は好塩基性の芽球によってほぼ占められていたため当初白血病との鑑別に苦慮したが, 腫瘍細胞のマーカー検査で骨髄癌症が疑われ精検したところ, 肛門周囲に腫瘤が発見され, 生検にて胞巣型横紋筋肉腫の病理診断を得た.同時に腫瘍細胞の染色体検査にて2番, 13番の異常が指摘されたためRT-PCR法によるPAX3-FKHRキメラ遺伝子を検討したところ, この融合遺伝子が証明されたため最終的にt (2;13) (q35;14) 染色体転座を有する進行性の胞巣型横紋筋肉腫と診断した.小児において白血病様の骨髄像を呈する骨髄癌症を見た場合, 迅速診断のためには胞巣型横紋筋肉腫に特異的な融合遺伝子の検索はぜひ試みられるべき検査である.
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