日本小児血液学会雑誌
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All-tans retinoic acidによりDICをコントロールしえた横紋筋肉腫の1例
岩井 艶子岩井 朝幸
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1999 年 13 巻 1 号 p. 26-30

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抄録
症例は11歳, 男児.右臀部腫瘤を主訴に入院した.入院時検査にて軽度の貧血, 血小板減少, LDHの高値を認めた.凝固検査にてFDP, D-ダイマーの軽度上昇を認めたので, DICと診断した.骨髄は低形成で腫瘍細胞の浸潤と壊死細胞を認めた.轡部腫瘤の生検で横紋筋肉腫と診断し, 鼠径部リンパ節にも転移を認めたためgroup IVとした.Vincristineとactinomycin-Dにて治療を開始したところ, 急速にDICが進行した.ヘパリン, メシル酸ガベキセート, 新鮮凍結血漿など投与するも軽快せず, 家族の同意を得て, all-trans retinoic acid (ATRA) 40mgの投与を開始した.開始後よりDICは急速に改善し, 出血症状も軽快した.ATRAはAPLのみでなく, 他の悪性腫瘍に伴うDICにも有効である可能性が示唆された
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