抄録
症例は8歳, 急性リンパ性白血病の女児.寛解導入中に細菌性髄膜炎および水頭症を合併した.髄膜炎に対しての化学療法と, 水頭症に対しての脳室-腹腔シャント術が行われた.その間に骨髄再発が認められたため, 再度の寛解導入が行われ完全寛解が得られた.その後非血縁者からの骨髄移植が施行された.前処置として12Gyの全身照射とサイクロホスファミドを用いた.シクロスポリンと短期メソトレキセートをGVHD予防として用いた.患児は良好な生着を得, 現在完全寛解継続中である.本症例の臨床経過は, 中枢神経系の合併症を有する症例への骨髄移植に関して, 有益な情報と思われる.