日本小児血液学会雑誌
Online ISSN : 1884-4723
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慢性活動性EBウイルス感染症の病態
脇口 宏
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1999 年 13 巻 2 号 p. 59-67

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抄録
慢性活動性EBウイルス感染症CAEBVの臨床症状, 免疫異常, ウイルス感染細胞の特徴, 診断, 治療などについて概説した.症状の主体は発熱, 肝脾腫, リンパ節腫脹で, EBウイルス感染細胞の異常増幅/EBウイルス負荷量増加に細胞性免疫能低下, サイトカイン産生異常などが関与していると考えられる.CAEBVにおけるEBウイルス感染細胞の主体はT/NK細胞で, クローン性の増殖を示す例が多い.両親の免疫機能にも異常があり, とくに母親と患児のNK活性には有意の相関が観察される.自己免疫性リンパ増殖症候群のなかにCAEBVに相当する臨床症状と, 免疫異常を伴う例があり, 本症の発病機序を考えるうえで興味深い.予後はきわめて不良であるが, 診断基準と治療方法はまだ確立されていない.骨髄移植と細胞傷害性T細胞養子免疫療法は今後期待される治療方法である.
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