抄録
L-asparaginase (ASP) は有用な抗白血病剤であるが, 毒性の強い薬剤と考えられてきた.過敏症および肝の蛋白合成阻害に関連した副作用が主たるものであるが, 現在の使用法では副作用は耐えられる限界内と思われる.しかし, アナフィラキシーショック, 急性膵炎, 頭蓋内血栓症などの稀であるが重篤な副作用には細心の注意が必要である.これらは予防, 早期診断・早期治療が重要であるが, ASP投与中あるいは投与後1~2週間はつねにそれらの可能性を念頭においた臨床的観察が最も重要である.また, 血漿antithrombin IIIの低下や血清アミラーゼの上昇などはモニター検査として有用であろう.