抄録
小児血液学会造血細胞移植委員会に登録されたPhiladelphia染色体陽性急性リンパ性白血病 (Ph1ALL) 89例の移植結果を解析した.移植法の内訳は, 同種骨髄 (71例, 同系1例を含む) (allo), 自家骨髄9例 (auto), 自家末梢血9例 (PBSCT) であった.再発が, allo71例中27例, auto9例中4例, PBSCT9例中8例にみられ, 5年無病生存率は, allo, auto, PBSCTの順に26.0±5.7%, 51.9±17.6%, 0%であり, PBSCTの成績が悪かった (P<0.O1).移植関連死亡は, allol9例, PBSCTl例にみられ, 肝中心静脈閉塞症, 敗血症, 問質性肺炎, 移植片対宿主病 (GVHD) などが原因であった.Alloの予後因子は移植時の状態 (同胞例) (P<0.02) と慢性GVHD (P<0.05) であり, 多変量解析では慢性GVHDの発症が単独で予後因子であった (P=0.002).Ph1ALLに対する移植は, できるだけ早期に合併症の少ない方法で行うことが重要であると考えられた.