日本小児血液学会雑誌
Online ISSN : 1884-4723
Print ISSN : 0913-8706
ISSN-L : 0913-8706
頭部皮膚潰瘍で発症したEpstein-Barrウイルス関連T細胞性リンパ腫の1幼児例
鈴木 里香加藤 文代和田 恵美子鈴木 葉子村田 光範
著者情報
ジャーナル フリー

2000 年 14 巻 5 号 p. 346-350

詳細
抄録

症例は2歳男児.反復する頭部皮膚潰瘍, 発熱, 頸部リンパ節腫脹, 肝腫大を主訴に入院.血液検査にて, 汎血球減少, 肝機能障害, 血清EBウイルス抗体VCA-IgGの著明な上昇を認めた.頭部皮膚, 頸部リンパ節, 肝生検において異型性の強いEBER-1陽性, CD3陽性のリンパ球の浸潤を認め, TCR-βおよびEBVterminal probeによるSouthern blot法にてモノクロナリティが証明された.EBウイルス関連末梢性T細胞リンパ腫 (EBV-PTCL) と診断し, 種々の多剤併用による化学療法を施行した.治療開始後速やかに症状の改善を認めたが, 治療終了1カ月後, 再び血球貧食症候群を認めたためCOPP-ABVD hybrid療法を6クール, ABVD療法を5クール施行した.治療終了後2年が経過しているが, 現在患児は再発も認めず寛解が持続している.

著者関連情報
© (社)日本複写権センター
前の記事
feedback
Top