2000 年 14 巻 6 号 p. 404-410
低形成性骨髄異形成症候群の15歳女児が2度にわたる抗ヒト胸腺細胞免疫グロブリン (ATG) 治療後に非血縁者間同種骨髄移植を受けた.移植前処置はATG2.5mg/kg/day×4days, cyclophosphamide 50mg/kg/day×4days, 全身リンパ節照射4Gy/day×2daysであった.急性GVHDは認めなかった.移植後58日目より鼻閉, 頸部リンパ節腫脹などを認め, 生検の結果, EBウイルス関連リンパ増殖症と診断した.移植後64日目にドナーリンパ球輸注 (DLT) (輸注T細胞数 : 1.39×106/kg) を施行した.DLTに対する反応はきわめて良好であったが, DLT後20日目から皮膚, 肝臓にGVHDをきたし, さらにDLT69日目よりの腸管GVHDが出現し不応性となり移植後160日目に死亡した.ATGの繰り返し投与はLPD発症のrisk factorであること, DLT後は致死的なGVHDをきたす可能性のあることを念頭に置いた慎重な対応が必要と思われた.