日本小児血液学会雑誌
Online ISSN : 1884-4723
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先天性血液免疫異常症の診断の進歩
金兼 弘和
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2001 年 15 巻 2 号 p. 89-94

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抄録
分子生物学の進歩によって先天性血液免疫異常症の多くが単一遺伝子異常に基づくことが解明され, 遺伝子診断が行われるようになつてきたが, 遺伝子解析は時間と労力を有するため, 簡易診断が望まれる.X連鎖無γ-グロブリン血症, Wiskott-Aldrich症候群/X連鎖血小板減少症, X連鎖リンパ増殖症候群の3疾患を対象として, 特異的なモノクローナル抗体を用いてフローサイトメトリーにより細胞内蛋白を検出する簡易診断法と遺伝子解析について概説する.フローサイトメトリーによる患者・保因者診断は感度ならびに特異性にすぐれているが, より正確な診断および遺伝カウンセリングには遺伝子解析も重要である.フローサイトメトリーによる簡易診断法は, 非典型例を含めた先天性血液免疫異常症のスクリーニングに有用であると思われ, 特異的なモノクローナル抗体があれば, 他の遺伝性疾患の診断にも応用可能と思われる.
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