先天性免疫不全症の治療は, 根治療法と支持療法とに大別される.前者の治療法として, 幹細胞移植は, 先天性免疫不全症の中で, 重症複合型免疫不全症, Wiskott-Aldrich症候群, X連鎖劣性高IgM症候群などが適応となる.骨髄移植, 臍帯血移植, 末梢血幹細胞移植, mini-transplantationが症例に応じて施行されている.遺伝子治療は, X-SCIDで造血幹細胞へ共通γ鎖を導入する方法で成功例が報告された.支持療法として, γ-グロブリン定期補充は, 抗体産生不全症に効果を示す.T細胞機能不全では
P.cariniiに対するST合剤の予防内服,
Cryptosporidium pavumや真菌に対する感染予防が必要である.自己活性化T細胞輸注療法も感染に対して一定の効果を上げている.先天性免疫不全症では, 早期診断, 早期治療を行い, 適応があれば良い状態で幹細胞移植することが現時点でのもっとも有効な治療戦略である.
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