日本小児血液学会雑誌
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同種骨髄移植後慢性移植片対宿主病の症状として両側広頸筋筋膜炎を呈した1例
山下 信子西内 律雄小田 慈大橋 博美山本 明子清野 佳紀
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2001 年 15 巻 3 号 p. 215-219

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抄録

慢性移植片対宿主病 (GVHD) に伴う広頸筋筋膜炎の4歳男児例を報告する.患児は骨髄異形性症候群のためHLA1座不一致の母親より骨髄移植を施行された.GVHD予防は短期間methotrexateとcyclosporine Aで行った.Day72に生じた急性GVHD (Grade II) に伴う血小板減少症と肝機能障害はprednisoloneとtacrolimsで軽快していた.Day 139に断薬した後, day 182から頸部顔面の腫脹・全身皮膚紅斑・乾燥性結膜炎が出現した.血液検査では好酸球増多症・肝胆道系障害・血清アルドラーゼ値の上昇が認められた.T2強調MRIで両側広頸筋筋膜と周囲軟部組織がhyperintensityであった.大腿四頭筋生検では慢性GVHDと初期の筋膜炎の所見を得た.Prednisoloneとtacrolimusにより速やかに皮膚紅斑・好酸球増多症・肝胆道系障害は軽快した.広頸筋筋膜炎は4カ月後に治癒した.慢性GVHDによる筋膜炎はきわめてまれであり, また広頸筋に生じた例は過去に報告がない.

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