日本小児血液学会雑誌
Online ISSN : 1884-4723
Print ISSN : 0913-8706
ISSN-L : 0913-8706
同種造血幹細胞移植後の生着不全に対する再移植の検討
太田 秀明金 智裕澤田 明久時政 定雄藤崎 弘之松田 佳子大杉 夕子原 純一
著者情報
ジャーナル フリー

2001 年 15 巻 5 号 p. 388-395

詳細
抄録
同種造血幹細胞移植後の生着不全は, しばしば致死的となる重大な合併症である.免疫抑制を強化しての再移植を必要とするが, 非血縁者間移植や臍帯血移植後の自己造血を伴わない早期の生着不全では, 同一ドナーからの再移植は困難であり, 緊急を要する問題である.本論文では, 当施設で経験した再移植症例を検討した.1995~2000年に7例の生着不全に対し再移植を施行した.5例は非悪性腫瘍患者で, うち1例は頻回の輸血歴のある重症再生不良性貧血の患者であった.生着不全は, 6例が早期で, 1例が晩期 (晩期拒絶) であった.血縁者間移植後の4例は, 同一ドナーから再移植を行った.非血縁者間移植後の3例 (うち2例は臍帯血移植後) では, HLA2座あるいは3座不一致の血縁ドナーから再移植を行い, うち2例ではCD34陽性細胞末梢血移植を施行した.再移植時は, 主として全身放射線照射あるいはHudarabineを用い, 前処置を強化した.頻回輸血歴のある再生不良性貧血1例を除く6例で生着が得られた.結論として, 1) 生着不全に対して再移植は有効であった.2) 全身放射線照射あるいはHudarabineは再移植時の免疫抑制に効果的であった.3) 非血縁者間移植後の生着不全に対して, HLA不一致血縁ドナーからのCD34陽性細胞移植は有用であった.
著者関連情報
© (社)日本複写権センター
前の記事 次の記事
feedback
Top