小児がん患者15例における造血幹細胞移植時の前処置として, L-PAM注射用剤単独または全身放射線照射 (TBI) を併用した場合の有用性を検討した.骨髄生着は, 有効性評価対象14例全例に認められ, 生着日の中央値は16日 (11~67日) であった.抗腫瘍効果の評価対象5例の奏効率は, 著効 (CR) 1例, 良好部分寛解 (VGPR) 1例, 部分寛解 (PR) 1例, 不変 (NC) 2例で, 60% (3/5) であった.副作用は, 15例全例に認められ, その主な症状は, 下痢86.7%, 口内炎・粘膜炎80.0%, GOT・GPT上昇66.7%および悪心・嘔吐53.3%であった.急性移植片対宿主病 (GVHD) は同種骨髄移植を行った7例中3例 (42.9%) に発現したが, 慢性GVHDは観察されなかった.感染症あるいは感染症の疑いは86.7% (13/15) に発現した.移植関連死および重篤な有害事象はなかった.死亡は4例に認められ, その死因は, 原病悪化が3例, 敗血症・DIC (播種性血管内凝固症) が1例であった.Kaplan-Meier法にて推定した3年生存率は (観察期間中央値 : 1,135日) 71.4%であった.以上のことから, 本剤は造血幹細胞移植時の前処置剤として有効であり, 忍容性は比較的良好であることが示唆された.
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