日本小児血液学会雑誌
Online ISSN : 1884-4723
Print ISSN : 0913-8706
ISSN-L : 0913-8706
肝炎後再生不良性貧血に対して免疫抑制療法が有効であった1例
吉本 寿美橋山 元浩森永 信吾足立 尚登
著者情報
ジャーナル フリー

2002 年 16 巻 2 号 p. 95-98

詳細
抄録

近年, 再生不良性貧血 (再不貧) における免疫抑制療法の有効性が明らかになってきた.しかし, 肝炎後再不貧は予後不良で, しばしば造血幹細胞移植が行われ, 免疫抑制療法の報告例は少ない.今回われわれは, 原因不明の肝炎後に再不貧を発症した10歳の男児例を経験した.肝機能障害が持続したため, われわれは抗胸腺細胞グロブリン, シクロスポリン, ステロイド併用による免疫抑制療法を行った.その結果, 重篤な副作用を認めることなく, 肝機能に続いて汎血球減少の改善を認めた.以上より, 肝炎後再不貧に対する免疫抑制療法は, 肝機能障害を有する場合にも安全に施行でき, 造血幹細胞移植に代わる治療法となる可能性があることが示唆された.

著者関連情報
© (社)日本複写権センター
前の記事 次の記事
feedback
Top