日本小児血液学会雑誌
Online ISSN : 1884-4723
Print ISSN : 0913-8706
ISSN-L : 0913-8706
造血幹細胞移植の前処置に用いたbusulfanにより間質性肺炎をきたした乳児白血病の2例
小山 真穂西内 律雄冨山 佳江雀部 誠小田 慈清野 佳紀
著者情報
ジャーナル フリー

2002 年 16 巻 2 号 p. 90-94

詳細
抄録

乳児白血病に対して, busuifan (BU), etoposide, cyclophosphamideを前処置とする造血幹細胞移植を施行し, BUによると思われる間質性肺炎をきたした2例を報告した.1例目は生後8ヵ月時に第2再発の状態でHLAI座不一致の臍帯血幹細胞移植を施行した男児.移植後20日目から喘鳴, 多呼吸が出現し, 胸部CTにて間質性肺炎と診断した.Methylprednisolone (m-PSL) パルス療法にて移植後50日目には臨床症状, 画像所見ともに改善した.2例目は生後8ヵ月時に第1寛解期にHLA完全一致の姉から骨髄移植を施行した女児.移植後23日目から喘鳴, 多呼吸が出現し, 胸部CT上間質性肺炎の像を認めた.m-PSLパルス療法を繰り返し, 移植後85日目には臨床症状, 画像所見ともに改善した.両例とも各種ウイルス検査は陰性であり, 2例目ではBUの血中濃度が高値であったことから, BUによる治療関連毒性であると考えられた.乳児のBUの薬物動態について知見の集積が待たれる.

著者関連情報
© (社)日本複写権センター
前の記事 次の記事
feedback
Top