抄録
11ヵ月男児が貧血と肝腫大を主訴に来院し, 急性リンパ性白血病と診断された.CCLSG infant ALL874 protocolに従って治療を行い, 完全寛解に達した.しかし, その12年後に12歳の弟が汎血球減少をきたし, 急性骨髄性白血病と診断された.CCLSG AML 9805 protocolに従って治療を行い, 彼もまた完全寛解に達した.われわれはPCR-SSCP解析にてp53の変異を調べたが, 兄弟ともに異常を認めなかった.兄と弟の発症時期がかなり離れていることと, 兄弟で白血病の病型が異なることから, 同一原因によるとは考えにくかった.なお, 兄弟ともに現在も寛解を維持している.