日本小児血液学会雑誌
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遺伝子治療の応用-同種造血幹細胞移植におけるGVHD制御への挑戦-
福島 敬清水 崇史須磨崎 亮大津 真小野寺 雅史小池 和俊土田 昌宏加藤 俊一中内 啓光大橋 一輝坂巻 壽金子 新鈴川 和己長谷川 雄一小島 寛長澤 俊郎松井 陽
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2005 年 19 巻 2 号 p. 101-108

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抄録
細胞自爆遺伝子を用いて移植片対宿主 (GVH) 病の制御を行うという試みは, 1990年代にイタリアで始まった.造血細胞移植後に白血病が再発した症例に対して, ドナーリンパ球輸注を行う際に, 細胞自爆遺伝子を導入・発現したものを使用する.輸注後に制御不能のGVH病が発症した際には細胞自爆遺伝子を作動させると, リンパ球は自動的に細胞死に陥り, GVH病は沈静化するというプログラムである.ここでは細胞自爆遺伝子としてヘルペスウイルス・チミジンキナーゼを用いる.本来ヒトの細胞はこれをもっていないが, 遺伝子導入によって細胞内にこの酵素蛋白をもつようになる.するとガンシクロヴィルを活性化させる能力を発現して, 本来ヒトには無毒であるガンシクロヴィルが, 細胞毒性を発揮するようになる.この遺伝子治療をわが国に導入・応用するべく準備をすすめ, 2004年11月に至って第1例目を実施した.本プロジェクトの概要を報告する.
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