抄録
NK細胞は強力なアロ反応性を示すため, 臓器移植における役割が示唆されてきた.国内非血縁者間HLA-A, B, -DR血清学型一致移植について, HLA-C抗原のNK細胞受容体KIRリガンド適合性と移植成績を調べたところ, GVH方向不適合では急性GVHD発症率が有意に高く, 全生存率も低下していた.一方, イタリアグループは急性白血病における血縁者間haplo-identical末梢血幹細胞移植において, GVH方向KIRリガンド不適合症例で拒絶および急性GVHD発症がみられず, AML患者の場合は再発もなく無病生存率 (5年) が良好であったことを報告した.このようなNK細胞受容体KIRリガンド適合性の移植成績への影響が異なる原因としては, 移植レジメの相違が大きく影響していることが考えられる.