日本小児血液学会雑誌
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急性骨髄性白血病 (FAB ; M5a) における精巣再発の1例
佐藤 智信中嶋 雅秀井口 晶裕中川 温子小林 良二
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2005 年 19 巻 4 号 p. 220-223

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抄録

初発時の化学療法終了から11ヵ月後に左睾丸の無痛性腫大で再発した急性骨髄性白血病 (FAB;M5a) の3歳男児例を経験した.初発時に認められたmonoblastは, t (9 : 11) (P22 ; q23) の染色体異常を有していた.再発時に摘出した精巣の病理所見からは, 当初2次性非ポジキンリンパ腫 (NHL) の発生が疑われたが, reverse transcription-polymerase chain reaction (RT-PCR) 法により精巣組織からMLL-AF9キメラmRNAが検出されたことから原疾患の再発と診断した.その後の検査で骨髄・中枢神経系への芽球の浸潤も認め, 化学療法を開始し, 寛解に至った.急性骨髄性白血病 (AML) の精巣再発はきわめてまれであり, かっ同一クローンでもあり, 再発時にphenotypeが異なっていたため本症例ではその診断に苦慮したが, RT-PCR法が確定診断に有用であった.

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