日本小児血液学会雑誌
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メソトレキセート大量静注療法直後, 急性腎不全を起こした縦隔T-lymphoma/leukemia syndromeの一例
岡本 則彦小原 明土田 昌宏月本 一郎
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1988 年 2 巻 1 号 p. 95-100

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抄録

13歳男児, 貧血, 縦隔陰影の拡大を認め, 入院した.末稍血に芽球なく, 骨髄に95%の lymphoblastを認めた.T-cell型lymphoma/leukemia syndromeの診断のもとに, 多剤併用療法で24日目に寛解導入した.52日目より50mg/kgの大量methotrexate (MTX) を 6時間点滴, 36時間後よりcitrovorum factor (CF) 12mg/ m2を6時間ごとに投与した.第2回目MTX100mg/kgを開始した翌日より, 尿量減少, 高血圧, 血清クレアチニン2.0mg/dlと急性腎不全をきたした.48時間後のMTX血中濃度22×10-6mol/lであったため, hemoperfusionとCFを160mg/m2/dayで6時間ごとに投与した.初期のクレアチニン・クリアランスは10ml/min/1.6m2以下であったが, 17日目には60ml/minに回復した.口内炎, 骨髄抑制などの副作用は中等度であった.急性腎不全に関与するなんらの誘因も発見できなかった.

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