明らかな先行感染を認めず, 梅毒反応も陰性の, 2歳2ヵ月の男児に発症した発作性寒冷血色素尿症の1例を経験した.症例は屋外での寒冷暴露後に発熱し, 褐色尿を繰り返して近医にて血色素尿と貧血を指摘されたため当科紹介となり, 精査のため入院となった.当初, 貧血とLDHの高値があり直接Coombs test陰性, CAT低値, Sugar water test陰性であったが, Donath-Landsteiner (DL) test陽性, Ehrlich finger test陽性, DL抗体陽性であったためPCHと診断した.患者赤血球の冷却による脆弱化もCoilPlanet Centrifugeにより確かめられた.入院後保温にて溶血発作は消失した.第48病日には退院し, 第137病日にはDL抗体も陰性化した.