日本小児血液学会雑誌
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造血幹細胞移植と環境感染対策
矢野 邦夫
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2006 年 20 巻 3 号 p. 133-142

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抄録
造血幹細胞移植の患者は厳しい免疫不全状態となり, さまざまな感染症を経験する.移植患者では, 免疫が正常な人ではまったく問題とならない環境病原体でも重篤な感染症を引き起こすことがあるので, 適切な環境感染対策が必要である.環境表面に付着している病原体の患者への感染経路は患者や医療従事者の手指であるため, 感染を防ぐためには感染経路である手指の消毒が必須である.また, 一般の患者においては, 水痘, 麻疹, 結核が問題となるが, 移植患者においてはアスペルギルス対策も同時に実施しなければならないため, 空気のコントロールも大切である.最近は, 移植患者におけるレジオネラ症も問題となっており, 適切なレジオネラ対策も必要となってきた.今後は, 造血幹細胞移植の増加が予想されるとともに, 条件の厳しい移植も行われるようになるであろう.このような状況から, 科学的な環境感染対策が必要である.
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