日本小児血液学会雑誌
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Kasabach-Merritt症候群の病態と治療戦略
三問屋 純一
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2006 年 20 巻 3 号 p. 143-149

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抄録
1940年にKasabachとMerrittが急速な血管腫の増大, !血小板減少を伴う新生児例を報告して以来, 巨大血管腫に合併した線溶系の亢進, 血小板減少およびフィブリノーゲンなど凝固因子の減少する消費性凝固異常を伴う病態をKasabach-Merritt症候群と呼ぶようになつた.KMSは血管腫をもつた小児の0.3%に合併するといわれるきわめてまれな病態である.その死亡率は10-30%と報告されており, 死因の多くはコントロール不能な出血によるものである.血管内皮障害が消費性凝固異常の原因のひとつと考えられており, KMSは播種性血管内凝固症候群 (DIC) のスペクトルの一端と考えられている.本稿ではKMSの成因・病態生理ならびに自験16例 (全例生存中) を踏まえ, その臨床像と治療戦略につき概説する.
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