抄録
近年, 再生不良性貧血 (以下A. A.と略) の治療として免疫抑制療法が注目されている.今回, 私たちは中等症と重症のA.A.3例に大量M-PSLパルス療法 (以下パルス療法と略) を4~6コース, 3~8カ月間隔で施行し治療効果判定を行った.症例1 (16歳5ヵ月の男子) はGrade II, 症例2 (12歳の女子) はGrade Iでともに治療後Grade IIIとなりGood response, 症例3 (14歳8ヵ月の女子) はGrade I, 治療後Grade IIとなりPartial responseであった.3例すべてにおいてパルス療法後輸血回数の減少とPSL維持量の漸減中止がみられ, 症例1・2はPSL伸止後1年以上寛解状態を維持している.大量M-PSLパルス療法は発症早期が効果的であるが, 発症後8年を経過した症例でも反復すれば有効であると考えられた.パルス療法前後のT-cell subsetの経時的変化に若干の文献的考察を加えて報告した.