日本小児血液学会雑誌
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一方にのみ骨髄再発をきたしたcommon ALL一卵性双生児例
小澤 武史阿座上 才紀大和田 葉子寺本 チエ黒崎 元之杉田 憲一江口 光興古川 利温
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1990 年 4 巻 1 号 p. 91-95

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抄録
4ヵ月の差で発症した一卵性双生児のcommon ALL幼児例を報告する.東京小児癌治療共同研究委員会 (TCCSG) 第11次プロトコールのextremely high risk (Hex) に基づいて同一の治療を施行したが, 経過中一方にのみ骨髄再発を認めた.初診時の骨髄標本で, 光顕像では, FAB分類上ともにL1の形態を示し, ペルオキシダーゼ反応陰性, PAS反応がびまん性に弱陽性, さらに表面マーカーも含めて, 2症例間にほとんど差を認めなかった.しかし電顕像では, 核のクロマチン凝集度, およびPA-TCH-SP (Periodic acidthicarbohydrazide-silver proteinate) 反応に陽性となるグリコーゲン粒子に明らかな差を認めた.その結果, 同一の幹細胞由来と考えられている一卵性双生児の白血病細胞が, 発症までの間に, おのおのの中で超微細形態レベルの変化をきたしていたことが示唆され, これが悪性度にも影響を及ぼしたことも推測された.
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