1990 年 4 巻 4 号 p. 355-360
初発の急性リンパ性白血病 (ALL) 患児のうちサイトメガロウイルス (CMV) 病とウイルス学的に診断しえた12例を対象に, その臨床像につき検討した.全例入院時の血清抗体価は陰性であり, 新鮮白血球を含む輸血を受けていた.輸血後57.2±29.4日目に発熱を主症状として発症した.発熱期間は16.1±6.8日間であった.肝炎の合併は10例, 貧血の亢進は4例, 肺炎の合併は2例であった.貧血が亢進した4例中2例は寒冷凝集素症であり, 他の2例はaplastic crisisの像を示した.赤沈は中等度亢進するのみであり, CRPは12例中6例が陰性であった.死亡例は1例もなかった.以上の結果より, ALL患児においては, 輸血後, 数十日後に, 原因不明の発熱を認めた場合には, CMV病を疑い各種検査を行う必要があると思われた.