日本小児血液学会雑誌
Online ISSN : 1884-4723
Print ISSN : 0913-8706
ISSN-L : 0913-8706
多発性の骨破壊を示したKi-1抗原陽性悪性リンパ腫の一例
黒澤 秀光鹿嶋 広久落合 二葉榊原 均杉田 憲一江口 光興古川 利温藤本 純一郎秦 順一
著者情報
ジャーナル フリー

1990 年 4 巻 5 号 p. 495-499

詳細
抄録
多発性の骨破壊を示したKi-1抗原陽性悪性リンパ腫の1例を経験したので報告する.患児は14歳男児で4ヵ月持続する発熱と関節痛を主訴に当科に入院した.骨単純レ線で骨盤骨および頭蓋骨の骨吸収像と胸椎 (Th7-8・Th11), 腰椎 (L4) の圧迫骨折を認めた.右鼠径部リンパ節の生検で, 高度のリンパ球浸潤を伴った腫瘍細胞の浸潤性増殖が認められた.この腫瘍細胞は大型の細胞でCD30 (Ki-1), epithelialmembrane antigen (EMA), HLA-DR, leukocyte common antigen, vimentinが陽性で, desmin, neurofilamentは陰性であった.以上よりKi-1抗原陽性悪性リンパ腫と診断し, 東京小児がん治療研究会 (TCCSG) の T-8801プロトコールに放射線療法を用いて治療し, 治療開始8ヵ月の現在寛解状態にある.
著者関連情報
© (社)日本複写権センター
前の記事 次の記事
feedback
Top