抄録
化学療法の免疫系に与える影響を検討する目的で, 小児の急性リンパ性白血病 (ALL) について, twocolor解析によるリンパ球マーカー分析を行った.CD8+, CD4+HLA・DR+, CD8+HLA・DR+, Leu7+細胞の比率は維持療法中には正常対照児に比して有意に高く, いずれも治療終了後には低下したが, HLA・DR+T細胞は対照児に比して高値が持続した.CD4+, CD16+, Leu7-CD16+細胞は維持療法中と治療終了後で変化がみられなかったが, CD4+細胞は対照児に比して有意に低値が持続した.CD4/CD8比は維持療法中に低く, 治療終了後に上昇したが, 対照児に比して有意に低値が持続した.これらの変化は化学療法による骨髄・リンパ系抑制からの回復に際してみられる反応性の変化と考えられた.