日本小児血液学会雑誌
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小児難治性慢性血小板減少性紫斑病に対するdanazol療法
渋谷 温篠沢 隆檀谷 尚宏岡崎 海子
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1991 年 5 巻 1 号 p. 15-19

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抄録
難治性の小児特発性血小板減少性紫斑病 (ITP) 患児5名に対しdanazol投与を行い, その有効性にっき検討を加えた.対象患児は発症より6ヵ月以上経過し, 血小板数50,000/μl以下で, 各種治療に対し不応性の6~14歳の男児2名, 女児3名である.Danazolの投与量は200~600mg/日で, 投与期間は2~6ヵ月であった.Danazol投与2週間後に5例中4例で血小板数は50,000/μl以上に上昇したが, 2ヵ月以上にわたり100,000/μl以上を維持したものは3例 (男児2例, 女児1例) で, 有効率は60%と判定された.副作用は顔面のざ瘡と軽度の月経過多が1例ずっだったが, 肝機能障害はなかった.ITPにおけるdanazolの血小板増加作用機序として, 有効例ではdanazol投与前高値を示したPAIgGが投与後には正常値になったことから, 血小板抗体産生系への抑制作用が推定された.以上よりdanazol療法は小児でも難治性の慢性ITPに対して安全かつ有効な治療法と考えられた。
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