抄録
症例は11歳の女児で, 右頬部の腫脹を主訴に他院を受診.右上顎洞腫瘍の生検にてバーキットリンパ腫と診断され, 精査治療目的で当院を紹介受診した.CTでは右上顎洞および篩骨洞に腫瘍が充満し, 頬骨の一部を破損していた.腫瘍細胞表面マーカーの検索では, Ia+, B1+, B2-, CALLA-, SlgはIgM70%陽性でBcelltypeと考えられた.腫瘍細胞の染色体分析では11q+, dup (12) が認められたが, バーキットリンパ腫に特異的といわれる (8;14) 転座, (2;8) 転座, (8;22) 転座は認められなかった.治療はhighd oseCPM, high doseMTXを含む化学療法にて寛解導入後, 維持療法で通常の化学療法のほかに, 自家骨髄移植を併用した超大量化学療法を実施した.放射線照射は実施しなかった.その後再発せず約3年の完全寛解期間を経て治療を終了し, 現在外来にて経過観察中である.特異的な染色体異常を持たないバーキットリンパ腫について, 今後も症例の検討が必要と考えられた.