日本小児血液学会雑誌
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rhGM-CSFを使用した重症再生不良性貧血の骨髄移植例
池野 一秀中畑 龍俊山崎 崇志今井 寿郎菊池 俊実天野 芳郎小宮山 淳
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1991 年 5 巻 2 号 p. 182-188

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抄録

11歳の重症再生不良性貧血の男児に, HLA一致, MLC陰性, ABO不一致の3歳の妹より骨髄移植を行った.骨髄移植の翌日より, recombinant human granulocyte-macrophage colony-stimulating factor (rhGM-CSF) が, 投与量250μg/m2/dayで, 25日間連続投与された.その結果, 顆粒球数は, Day+15より増加がみられ, Day+19に500/cmmを越えた.また, 血小板数は, Day+29に105/cmm以上となった.我々は, 同様のconditioningを行い, 骨髄移植後にrecombinant human granulocyte colony-stirnulatingfactor (rhG-CSF) を併用した重症再生不良性貧血患児二人と, 顆粒球数, 血小板数の回復を比較した.rhGM-CSFを投与したときの顆粒球数の回復は, rhG-CSFと類似していたが, rhGM-CSFは, rhG-CSFに比べ, より特異的に血小板数の回復を刺激するように思われた.患児は, rhGM-CSFの投与期間中, 抗生物質不応性の高熱をきたし, rhGM-CSF自身が発熱の原因である可能性も疑われた.その他の副作用はみられなかった.以上の結果より, rhGM-CSFは, 小児の骨髄移植後の造血能の回復に有用であると思われた.

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