1991 年 5 巻 5 号 p. 514-518
症例は4歳の男児で発熱とリンパ節の腫脹を主訴として入院した.白血球数は28,100/μl (芽球76%) であり, ALL (FAB分類;L1) と診断された.TCLSG11次案の高危険群の治療が行われ寛解導入された.中枢神経系白血病の予防治療として, 頭蓋照射と髄注が開始された直後に髄膜白血病と診断された.髄注が継続され, 発症から5ヵ月後に重篤な神経症状を伴う白質脳症と診断された.初診時の染色体分析でt (1;19) (q23;p13) の異常が認められた.本症例のほかに3例のt (1;19) を有する寛解早期の白質脳症の報告がみられ, t (1;19) は白質脳症の高危険因子である可能性が示唆された.