1992 年 6 巻 6 号 p. 548-553
間接免疫ロゼット法により, 寛解中に髄液の白血球増多の見られた患児8例 (common ALL6例, T-ALL1例, T-NHL1例) と無菌性髄膜炎患児10例の髄液白血球の膜抗原検索を行った.髄液白血球が初発時芽球と一致した膜抗原発現が認められた患児6例は, 髄注後, 髄液白血球は速やかに減少し, 経過からも中枢神経浸潤 (CNS浸潤) と考えられた.初発時芽球で見られた膜抗原の有意な発現が認められず, 無菌性髄膜炎と同様にTリンパ球系抗原 (CD2, CD3), 骨髄単球系抗原 (CD13, CD14) の発現が認められた2例は, 経過からもCNS浸潤は否定的で, 経過中に無菌性髄膜炎を併発したと考えられた.間接免疫ロゼット法は, 少数の細胞でも検索が可能で, 髄液白血球の膜抗原検索に優れた方法であり, CNS浸潤と無菌性髄膜炎との鑑別診断が可能であった.