日本小児血液学会雑誌
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ウィルムス腫瘍治療後に発症し, 第二寛解期に骨髄移植を施行した急性リンパ性白血病の1例
甲斐 純夫高橋 浩之関口 晴之生田 孝一郎佐々木 秀樹松山 秀介水谷 俊平
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1993 年 7 巻 1 号 p. 75-79

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抄録
ウィルムス腫瘍治療後に発症した急性リンパ性白血病 (ALL) の1女児例を報告する.1985年1月, 4歳時に食欲不振と左上腹部腫瘤にてウィルムス腫瘍を発症.術前7.5Gyの放射線照射後, 腫瘍を全摘, 術後に24Gyの照射を行いアクチノマイシンD, ビンクリスチン, ビンデシンによる治療を15カ月間行った.その後2年間は健康であったが, 1988年5月, 弛張熱と肝腫大を認め, 骨髄穿刺で急性リンパ性白血病と診断した.プレドニン, ビンクリスチン, L-アスパラギナーゼ, ダウノマイシンにより寛解に入ったが, 1990年6月に再発をきたした.再導入療法に反応し寛解に入った後, 1991年1月に妹より同種骨髄移植を施行した.現在まで再発なく経過している.ウィルムス腫瘍治療後に発症した二次性白血病では骨髄性白血病が多く, ALLは稀である.二次性ALLは寛解期間が短く予後不良であり, 骨髄移植の第一適応と考えられる.
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