日本小児血液学会雑誌
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急性リンパ性白血病に合併した肺アスペルギルス症の2例と文献的検討
犬飼 岳史杉田 完爾白石 恭子小鹿 学合井 久美子手塚 徹飯島 純中澤 眞平
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1994 年 8 巻 2 号 p. 135-141

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抄録
ALLに肺アスペルギルス症を発症した2例を報告した.2例とも末期例で骨髄抑制が強く抗真菌剤の投与にもかかわらず死亡した.剖検で肺にアスペルギルス菌塊を認めたが周辺組織への細胞浸潤は認められなかった.自験例を含む小児白血病と悪性リンパ腫に合併した肺アスペルギルス症30例を検討し以下の点を明らかにした. (1) 急性白血病に発症することが多い. (2) 多くの症例で抗真菌剤が予防投与されている. (3) 治癒例は寛解導入中か完全寛解中の強化療法時に発症し, 死亡例のほとんどが再発・末期の症例である. (4) 治癒例の多くはアスペルギローマを形成し外科的切除を受けている. (5) 治癒例のほとんどがAMPH-Bを投与されている. (6) 寛解導入中に死亡した4例中2例が血胸による突然死である. (7) 確定診断のほとんどが切除標本か剖検によっている.したがって, その克服には確実な予防法や早期診断法の確立が必要と考えられる.
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