血清ferritinが著しい高値を呈したKi-1リンパ腫の4歳, 男児例を報告する.発熱, 喘鳴, 頸部リンパ節腫脹を主訴に当科に入院した.入院時, 血清色rritin, LDHを含む各種検査値は概ね正常範囲内であった.入院2週間後の第1回頸部リンパ節生検像では, 貧食像を伴う組織球を認めたことより, VAHSを疑い, 治療を開始したが改善なく, ferritin は3,595ng/ml, LDHは2,891IU/lに上昇した.第2回生検を右深頸リンパ節, 左側頭部リンパ節, および皮膚病変に対して行った.生検像で, 貧食像を示す未熟な組織球の存在より, いったん, 悪性組織球症を疑ったが, 免疫学的検索ではKi-1, EMA, IL-2Rが陽性であったことより, Ki-1リンパ腫の最終診断に至った.多剤併用化学療法 (VP16, THP-ADR, mPSL, Ara-C), 放射線療法により, いったん部分寛解したが, 全過程3カ月で死亡した.なお, 最終的には色rritinは35,181ng/ml, LDHは7,110IU/lと著明な高値を呈していた.一般に, Ki-1リンパ腫では血清ferritinは上昇しないとされているが, 自験例では経過中に著しい高値を呈し, しかも病勢に一致して増減した.血清財ritinが一部の本症では病勢, 治療効果判定の有用な指標になり得る可能性を示した.
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