日本小児血液学会雑誌
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白血病細胞とアポトーシス
真部 淳
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1994 年 8 巻 3 号 p. 173-180

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抄録
正常の胸腺および骨髄において生体にとって不都合な多くのリンパ球がアポトーシスにより速やかに排除されている.白血病はこれらの細胞が悪性化したものであり, アポトーシスのメカニズムを知ることは悪性化過程を探ること, および新しい治療法の確立に大きく寄与するものと思われる.白血病細胞を骨髄ストローマ層と共に培養すると, アポトーシスを妨げることができる.細胞にとっての必須因子がストローマ層にあるものと推定される.Bcl-2は末梢リンパ組織においてB細胞の生存に必須の蛋白質であるが, これは酒胞性リンパ腫の発症にも密接に関与している.抗癌剤および放射線照射も白血病細胞にアポトーシスを引き起こす.p53, c-myc, bcl-2, c-junなどが関与していると思われるが詳細はなお明らかではない.このほか各種サイトカインやFasリガンドについての知見, ならびにアポトーシスの検出方法について紹介する.
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