日本小児血液学会雑誌
Online ISSN : 1884-4723
Print ISSN : 0913-8706
ISSN-L : 0913-8706
HTLV-Iキャリアの異常リンパ球
梅本 正和
著者情報
ジャーナル フリー

1994 年 8 巻 3 号 p. 181-186

詳細
抄録
ほとんどの成人T細胞白血病 (ATL) は垂直感染群から発症すると考えられ, 水平感染群から発症したとの報告はない.私たちは, HTLV-1キャリアと非キャリアのリンパ球400個中のフラワー様細胞 (形態的にATLに特徴的なフラワー細胞+異常リンパ球) の頻度を調べたが, この頻度はキャリアがATLになる危険因子になるのではないかと仮定した.キャリア妊婦を垂直感染群と性交感染群にわけ頻度の違いを調べ, キャリア妊婦群とその母親 (これもキャリア) の世代間での頻度の違いもみた.結果は, キャリアのフラワー様細胞の頻度は有意に非キャリアより高かった.キャリアのフラワー様細胞の頻度は1~2%であり, 世代間や感染経路には影響されなかった.フラワー様細胞の頻度はATLの危険因子にはならなかった.性交感染群では垂直感染群と同じ頻度のフラワー様細胞がみられるのに, なぜ性交感染群からはATLが発症しないかは不明である.
著者関連情報
© (社)日本複写権センター
前の記事 次の記事
feedback
Top