日本小児血液学会雑誌
Online ISSN : 1884-4723
Print ISSN : 0913-8706
ISSN-L : 0913-8706
副鼻腔Mucor症 (鼻脳型) を発症した再発急性リンパ性白血病の男児例
小鹿 学犬飼 岳史白石 恭子手塚 徹合井 久美子飯島 純藤嶋 美奈子杉田 完爾中澤 眞平
著者情報
ジャーナル フリー

1994 年 8 巻 3 号 p. 220-224

詳細
抄録
再発急性リンパ性白血病 (ALL) の多剤併用化学療法中に副鼻腔Mucor症 (鼻脳型) をきたした症例を経験したので報告する.症例はcommon ALLの4歳男児 (2歳時発症) で, 骨髄再発のため入院となった.Prednisolone, etoposide, cytosinearabinoside, mitoxantroneの併用療法を行ったが, 汎血球減少の時期に抗生剤不応性の発熱が出現した.数日後に左頬部の発赤腫脹が出現し, 同時に硬口蓋に瘻孔が形成された.鼻腔粘膜の組織診から副鼻腔Mucor症 (鼻脳型) と診断した.Amphotericin-B静注療法を行ったが, 重篤な副作用のため, 抗真菌剤をHuconazoleと5-Huorocytosineの併用に変更した.顆粒球減少症に対してはgranulocyte-colony stimulating factorの投与を行ったが, Mucor症発症から5カ月で死亡した.顆粒球減少時の, 副鼻腔真菌症を含む致死的深部真菌症の予防には, より積極的な管理が必要であると考えられる.
著者関連情報
© (社)日本複写権センター
前の記事 次の記事
feedback
Top