日本小児血液学会雑誌
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EDTA依存性偽性血小板減少症の1小児例
免疫学的発症機序に関する考察
熊本 忠史山本 初実
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1994 年 8 巻 3 号 p. 230-233

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抄録
EDTA依存性偽性血小板減少症 (本症) の1男児例を経験し, その発症機序をHowcytometryを応用した免疫学的手法により検討した.患児血清は, EDTA存在下で患児血小板あるいは健康成人血小板と反応させた場合, 血小板凝集を惹起し, この血小板凝集塊は, FITC標識抗ヒトIgGヤギ血清で染色された.さらに, 血小板膜glycoprotein IIb/IIIaに対するマウスモノクローナル抗体の反応は, 血小板を患児血清とpre-incubateすることにより, ほぼ完全に阻害された.以上のことから, 患児血清中には, EDTA存在下で血小板を凝集させる作用のあるIgG型抗体が存在し, この抗体はEDTAをハプテン様物質とした場合, より効果的にglycoprotein IIb/IIIaと反応することが示唆された.
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