日本小児血液学会雑誌
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小児赤芽球癆の赤血球と骨髄赤芽球におけるpeanut lectin (PNA, Arachic hypogaea) 反応性に関する研究
渋谷 温檀谷 尚宏篠沢 隆岡崎 海子設楽 利二山本 圭子別所 文雄佐々木 道子
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1994 年 8 巻 5 号 p. 403-408

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抄録
小児赤芽球癆13名の赤血球に対しpeanut lectin (PNA, Arachis hypogaea) による凝集反応性と血液型抗原活性や赤血球膜糖蛋白の分析を行った.輸血なしで副腎皮質ホルモン治療中の5名の先天性慢性型 (Diamond-Blackfan anemia=DBA) のものがPNAと数回の検索中に持続的に反応したが, この反応は, 0.05%ポリブレンで反応は消失せず, papain処理で消失した.これら反応例のDBAはPNA以外のlectinでは反応せず, またpolyagglutinationもみられなかったことからTh活性化赤血球と考えられた.これら反応例の赤血球膜糖蛋白の分析では異常はなく, 血液型抗原活性は抗原は膀帯血と同様に陽性であったが, 他には異常はなかった.反応を示したDBAの赤血球のFITClabelPNA蛍光抗体法ではリング状に陽性像を示し, 骨髄CFU-EまたはBFU-E形成erythroblastsは胞体内の陽性像を示したことから, これらDBAの赤血球のPNAに対する反応性は赤芽球レベルでの糖鎖構造異常に由来しているものと推定される.
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