抄録
本研究では,保健師がとらえる子ども虐待事例における父親の対人関係と行動の特性について明らかにすることを目的とした.研究方法は質的記述的法である.保健所及び保健センターに勤務している母子保健業務の経験5年以上の保健師に半構造化面接を実施し,語られた8事例を分析対象とした.結果,保健師がとらえる子ども虐待事例における父親の対人関係と行動の特性は,【家族と情緒的な関係を結ぶことが難しい】【父親役割,責任をとることが難しい】【家族以外の人との関係を求めることが難しい】【感情,考えを表出することが難しい】【自分勝手な行動をする】【社会性に欠ける行動をとる】【攻撃的な態度と行動をとる】の7カテゴリーにまとめられた.本研究より,父親自身を理解し,父親と援助関係を作ることの難しさ,父親が家族との関係を形成していくための支援技術を支援者が培うことが重要であることが示唆された.