2017 年 6 巻 2 号 p. 141-149
目的:本研究の目的は,大学生の薬物使用に関するリスクによる薬物乱用防止教育へのニーズの違いを明らかにし,大学生の薬物乱用防止教育への示唆を得ることである.
方法:全国17大学の大学2年生を対象とした,留め置きによる自記式質問紙調査による横断的研究である.分析対象数は1,477名であった.
結果:大学生の薬物乱用防止教育への意欲や関心は低いことが明らかになった.大学生が好んだ教育は,「学外講師が授業時間内に集団に対して入学時のみ」の実施であった.薬物乱用経験のある群はより充実した教育を好む傾向がある等,薬物乱用リスクによって教育的ニーズに違いがあった.
結論:大学生の薬物乱用防止教育は,全体に向けた興味関心を高める講義に加え,学生をよく知る教員がディスカッションなどを取り入れつつ行う選択科目を開講するなど,学生の意欲・意識に合わせて学習形態や回数等を選択できるプログラムが効果的であろう.