日本公衆衛生看護学会誌
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研究
大都市における高齢者の見守られ意向と見守られたい相手
仁村 優希佐伯 和子青柳 道子
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2017 年 6 巻 3 号 p. 268-277

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Abstract

目的:大都市における高齢者の見守られ意向および見守られたい相手の関連要因を明らかにすることを目的とする.

方法:対象は5町内会の65歳以上の高齢者とした.無記名自記式質問紙を用いて,個人属性,町内の人との交流,見守られの現状,見守られへの期待と心配,見守られることに対する意識を調査した.関連要因の分析は,χ2検定,Fisherの直接確率検定を用いた.

結果:回収数は526部,有効回答数は511部だった.74.0%に見守られたい意向があった.住民から見守られたいという希望は,安心感の獲得と人とのつながりの期待が有意に高かった.介護や保健医療の専門職の希望は,生活の維持への期待が高かった.生活支援サービスや機器によるシステムの利用希望は,他者からの干渉と相手を信頼できないことの心配が高かった.

考察:高齢者は見守る側との関係性を考慮し,見守られへの期待と心配の内容により見守られたい相手を選択していると考えられる.

Ⅰ. 緒言

わが国は2016年に高齢化率が26.7%と過去最高になり,2060年には39.9%にまで上昇すると見込まれている(内閣府,2016a).平均寿命の延伸や,核家族化の進行に伴い,一人暮らしの高齢者が2014年には高齢者のいる世帯の25.3%を占めるまでに増加し(内閣府,2016b),地域では,一人暮らし高齢者の孤立死が増加している.40歳以上の約8割の人には,高齢期の一人暮らしへの不安がある(三菱UFJリサーチ&コンサルティング,2016)ことも報告されている.これらのことから,高齢者が地域で安心して生活することができる方策が必要である.

生活支援の一つに見守りがある.見守りは,対象の状況を把握し高齢者が安心して生活できるようにすることを目的としている(神崎,2013金谷ら,2015黄,2016).見守りの対象となる高齢者は,特別な支援はいらずに自立して生活している人から,認知症や虐待により専門職の支援を必要とする人にまで幅がある(東京都福祉保健局,2013).そのため見守りは,住民,行政・関係機関,民間企業の活動主体がそれぞれの役割を担い(堀,2011),高齢者の実態の把握や,声かけ訪問,サロン活動(河野,2014),電子機器を用いた安否確認システム等によって多方面から行われている.

しかし,見守りには課題や困難がある.特に,都市部では希薄な近隣関係による見守りの困難さがあり(桝田ら,2009),見守る側である住民組織には,高齢者の見守りの拒否や無関心,プライバシー意識の高まりによる情報共有の困難等のジレンマがある(舛田ら,2011).一方,見守られる側の高齢者は,機器を用いたシステムによる見守りで監視されていると感じることや,独居高齢者の見守りサービスの利用率が約1割と低い等の実態が示されている(小池ら,2013).さらに,高齢者の介護サービスの利用の意思決定において「サービスを受けることへの抵抗感から利用者がサービスを利用しない」等の『規範の影響』がある(麻原ら,2003).地域において見守りが推進されているが,見守る側と見守られる側の意識に差異があると考えられる.

75歳以上の急増が予測されている大都市において,より効果的な見守り体制を実現するためには,見守られる立場にある高齢者自身の意向を尊重した体制づくりの検討が必要である.

そこで本研究は,大都市における高齢者の見守られ意向および見守られたい相手の関連要因を明らかにすることを目的とする.

II. 研究方法

1. デザイン

本研究は,量的記述的研究デザインである.

2. 対象

対象者は,大都市A市B区C地区の町内会長の協力が得られた5町内会の65歳以上の高齢者とした.5町内会は総世帯数が3,210世帯(2015年10月現在;住民基本台帳),高齢化率が28.0%(2016年4月現在;住民基本台帳)である.

無記名自記式質問紙調査を2016年7月から8月に実施した.研究依頼は,各町内会長に行い,研究依頼文と調査票が入った返信用封筒の配付を依頼した.配付は,正確な対象者を把握できないため,町内会が把握している明らかに高齢者のいない世帯を一部除外した全1,865世帯に市の広報とともに配付した.一世帯に65歳以上の人が複数名いる場合は,任意の一名に回答を依頼した.

3. 概念枠組み

高齢者の見守られ意向および,見守られたい相手を従属変数とした.本研究において,「見守られ」の操作的定義は,先行研究(神崎,2013桝田ら,2009久富ら,2016)を参考に,「高齢者が生活の状況や体調,安否を把握されること」とした.見守られたい相手は先行研究(工藤,2015東京都福祉保健局,2013)を参考に,介入の程度と活動主体によって分類した.

関連要因である独立変数は,地域の関係性として町内の人との交流(内閣府,2016c)とした.また,高齢者は見守られることへの期待と心配を天秤にかけて意向および相手を選択していると考えた.見守られへの期待と心配は,見守りの概念分析(神崎,2013)や見守る側の意識(桝田ら,2009久富ら,2016)を参考にした.

4. 調査項目

調査項目は,個人属性,町内の人との交流,見守られの現状,見守られへの期待と心配,見守られることに対する意識とした.

見守られの現状は,見守りを受けている相手,見守りによる効果,見守りを受けていない理由で構成した.見守りを受けている相手は「近隣住民」「町内会やボランティア」「介護や保健医療の専門職」「民間企業による生活支援サービス(以下,生活支援サービス)」「機器による安否確認システム(以下,機器によるシステム)」とした.見守りによる効果は,「日常生活の維持」「早期対応」「安心感の獲得」「人とのつながり」とした.見守りを受けていない理由は「日常生活が維持できている」「早期対応できる」「安心感がある」「人とのつながりがある」「人づきあいが面倒」「他者から干渉される」「他者に自分のことを知られる(以下,プライバシー)」「相手のことを信頼できない」とした.

見守られへの期待と心配は,見守られへの期待と見守られへの心配で構成した.見守られへの期待は,「日常生活の維持」「早期対応」「安心感の獲得」「人とのつながり」とした.見守られへの心配は,「人づきあいが面倒」「他者からの干渉」「プライバシー」「相手のことを信頼できない」とした.なお,見守りの効果は現在見守られている人が得た望ましい結果である.見守られへの期待とは,現在見守られているかどうかによらず,全ての高齢者が抱く見守られに対する期待である.したがって,全ての高齢者が抱く見守られへの期待が,実際に見守られることで,肯定的な結果となったものを見守りの効果としているため,同一項目としている.また,見守られることへの心配は,高齢者が見守られているかどうかによらず,高齢者が見守られることで生じる気がかりのことである.他方,見守りを受けていない理由は,見守りを受けていない人が見守りを受けないと考える理由である.これらは,見守られに対する高齢者の一般的な印象と,見守られに対する実際の意識の差異を表すと考える.

見守られることに対する意識は,見守られ意向,見守られたい相手で構成した.見守られ意向は「現在受けたい」「将来受けたい」「受けたくない」とした.

見守られたい相手は,「近隣住民」「町内会やボランティア」「介護や保健医療の専門職」「生活支援サービス」「機器によるシステム」とした.

5. 分析方法

見守られ意向と,見守られたい相手の関連要因は,χ2検定およびFisherの直接確率検定を用いて,個人属性,町内の人との交流,見守られの現状,見守られへの期待と心配の各要因で分析した.分析にはSPSS statistics 22を用いた.有意水準は5%とした.

回収した調査票のうち除外した調査票は,すべての項目が未回答のもの,個人属性および町内の人との交流の項目がすべて未回答のもの,個人属性の性別と年齢が未回答のもの,見守られ意向が未回答のものの計15部である.

6. 倫理的配慮

調査票は無記名とし,配付時に説明文を添付し,研究内容,研究目的,研究参加の自由,不参加による不利益がないこと,今回得られた情報を本研究以外に用いないことを明記した.個人情報保護の観点から,65歳以上の高齢者世帯の特定ができないため全戸配付した.調査票の返送をもって研究参加の同意を得られたものとした.本研究は北海道大学大学院保健科学研究院倫理審査委員会の承認を得て実施した.(承認番号:16-17,承認日:平成28年6月9日)

III. 研究結果

調査票は526部回収し,有効回答数は511部だった.

1. 高齢者の個人属性および町内の人との交流(表1

性別は男性261人(51.1%),年齢は65~74歳が267人(52.3%),世帯構成は一人暮らし世帯107人(21.1%),夫婦世帯247人(48.6%)であった.

現在の町内の人との交流の程度は,「困ったときに助け合える程度」が85人(16.6%),「日常的に立ち話をする程度」,「あいさつ程度」,「付き合いはない」が426人(83.4%)であった.

望ましい町内の人との交流の程度は,「困ったときに助け合える程度」が192人(37.6%),「日常的に立ち話をする程度」,「あいさつ程度」,「付き合いはない」が319人(62.4%)であった.

気にかけてもらうために意図的に外出をする人は216人(43.5%)であった.

表1  個人属性および町内の人との交流(n=511)
n %
性別 男性 261​ 51.1
女性 250​ 48.9
年齢 65~69歳 117​ 22.9
70~74歳 150​ 29.4
75~79歳 113​ 22.1
80~84歳 83​ 16.2
85歳以上 48​ 9.4
世帯※1 一人 107​ 21.1
夫婦世帯 247​ 48.6
二世代以上の世帯 141​ 27.8
その他 13​ 2.6
連絡を取る家族※2 いる 464​ 91.5
いない 43​ 8.5
居住年数※3 35年以下 275​ 53.9
36年以上 235​ 46.1
住居形態 一戸建て 443​ 86.7
集合住宅 68​ 13.3
暮らし向き※1 余裕がある 32​ 6.3
やや余裕がある 209​ 41.1
あまり余裕がない 195​ 38.4
余裕がない 72​ 14.2
主観的健康感 よい 56​ 11.0
まあまあよい 301​ 58.9
あまりよくない 117​ 22.9
よくない 37​ 7.2
通院状況 ある 405​ 79.3
ない 106​ 20.7
現在の交流 困ったときに助け合える 85​ 16.6
日常的に立ち話 203​ 39.7
あいさつ 213​ 41.7
付き合いはない 10​ 2.0
望ましい交流 困ったときに助け合える 192​ 37.6
日常的に立ち話 185​ 36.2
あいさつ 128​ 25.0
付き合いはない 6​ 1.2
意図的な外出※4 ある 216​ 43.5
内訳(複数回答)
 家の前 117​ 54.2
 商店 130​ 60.2
 美容室 113​ 52.3
 病院 93​ 43.1
 金融機関 90​ 41.7
 老人クラブやサロン 78​ 36.1
ない 281​ 56.5

未回答を除く

※1 n=508 ※2 n=507 ※3 n=510 ※4n=497

中央値で2群化

2. 見守られることに対する意識の実態

1) 見守られの現状(表2

現在見守りを受けている人は174人(34.6%)であった.

表2  見守られの現状(n=503)
n %
見守りを受けている
n=174(34.6%)
受けている見守りの相手
近隣住民 123​ 70.7
町内会やボランティア 72​ 41.4
介護や保健医療の専門職 46​ 26.4
生活支援サービス 16​ 9.2
機器によるシステム 10​ 5.7
見守られることによる効果(複数回答)
日常生活の維持 49​ 28.2
早期対応 66​ 37.9
安心感の獲得 72​ 41.4
人とのつながり 99​ 56.9
見守りを受けていない
n=329(65.4%)
見守りを受けていない理由(複数回答)
日常生活が維持できている 280​ 85.1
早期対応できる 127​ 38.6
安心感がある 98​ 29.8
人とのつながりがある 97​ 29.5
人づきあいが面倒 34​ 10.3
他者から干渉される 45​ 13.7
プライバシー 16​ 4.9
相手のことを信頼できない 17​ 5.2

未回答(n=8)を除く

受けている見守りの相手は複数回答で,近隣住民が123人(70.7%)と最も多く,町内会やボランティア72人(41.4%),介護や保健医療の専門職46人(26.4%),生活支援サービス16人(9.2%),機器によるシステム10人(5.7%)であった.

現在見守りを受けていない人の理由は,複数回答で,「日常生活が維持できている」が280人(85.1%)と最も多く,「早期対応できる」127人(38.6%),「安心感がある」98人(29.8%),「人とのつながりがある」97人(29.5%),「他者から干渉される」45人(13.7%),「人づきあいが面倒」34人(10.3%),「相手のことを信頼できない」17人(5.2%),「プライバシー」16人(4.9%)の順であった.

2) 見守られへの期待と心配

見守られへの期待は,複数回答で,「日常生活の維持」が249人(49.1%),「早期対応」が345人(68.0%),「安心感の獲得」が255人(50.3%),「人とのつながり」が254人(50.1%)であった.

見守られへの心配は,複数回答で,「人づきあいが面倒」が122人(24.1%),「他者からの干渉」が191人(37.7%),「プライバシー」が92人(18.1%),「相手のことを信頼できない」が60人(11.8%)であった.

3) 見守られ意向および見守られたい相手

見守られ意向は,「現在受けたい」が40人(8.3%)「将来受けたい」が307人(63.4%),「時期はわからないが受けたい」が11人(2.3%),「受けたくない」が126人(26.0%)であった.

見守られたい相手は,複数回答で,「近隣住民」が179人(50.0%),「町内会やボランティア」が140人(39.1%),「介護や保健医療の専門職」が200人(55.9%),「生活支援サービス」が24人(6.7%),「機器によるシステム」が81人(22.6%)であった.

近隣住民または町内会やボランティアを選んだ人は226人(63.1%),生活支援サービスまたは機器によるシステムを選んだ人は91人(25.4%)であった.

3. 見守られることに対する意識の関連要因

1) 見守られ意向との関連要因(表3

見守られ意向と有意な関連があったのは,個人属性では世帯構成(p=0.036)であった.町内の人との交流では,現在の交流(p=0.009),望ましい交流(p<0.001),意図的な外出(0.005)であった.見守られの現状では,現在の見守られの有無(p<0.001)であった.

表3  見守られ意向と個人属性,町内の人との交流,見守られの現状との関連要因(n=484)
見守られ意向
あり なし p
n % n %
個人属性 性別 男性 182​ 50.8 61​ 48.4 0.640
女性 176​ 49.2 65​ 51.6
年齢 前期 186​ 52.0 73​ 57.9 0.247
後期 172​ 48.0 53​ 42.1
世帯構成※1 一人世帯 82​ 23.1 18​ 14.3 0.036
二人以上世帯 273​ 76.9 108​ 85.7
連絡を取る家族※2 いる 324​ 91.3 117​ 93.6 0.412
いない 31​ 8.7 8​ 6.4
居住年数※3 35年以下 186​ 52.1 74​ 58.7 0.199
36年以上 171​ 47.9 52​ 41.3
住居形態 一戸建て 306​ 85.5 112​ 88.9 0.337
集合住宅 52​ 14.5 14​ 11.1
暮らし向き※1 余裕がある 161​ 45.1 63​ 50.8 0.272
余裕がない 196​ 54.9 61​ 49.2
主観的健康感 よい 250​ 69.8 87​ 69.0 0.869
よくない 108​ 30.2 39​ 31.0
通院状況 ある 289​ 80.7 95​ 75.4 0.204
ない 69​ 19.3 31​ 24.6
町内の人との交流 現在の交流 多い※6 67​ 18.7 11​ 8.7 0.009
少ない※7 291​ 81.3 115​ 91.3
望ましい交流 多い※6 155​ 43.3 28​ 22.2 <0.001
少ない※7 203​ 56.7 98​ 77.8
意図的な外出※4 する 166​ 48.1 42​ 33.6 0.005
しない 179​ 51.9 83​ 66.4
見守られの現状 現在の見守られの有無※5 受けている 153​ 43.2 12​ 9.7 <0.001
受けていない 201​ 56.8 112​ 90.3
見守られへの期待 日常生活の維持 思う 183​ 51.1 50​ 39.7 0.027
思わない 175​ 48.9 76​ 60.3
早期対応 思う 256​ 71.5 78​ 61.9 0.045
思わない 102​ 28.5 48​ 38.1
安心感の獲得 思う 204​ 57.0 44​ 34.9 <0.001
思わない 154​ 43.0 82​ 65.1
人とのつながり 思う 198​ 55.3 48​ 38.1 0.001
思わない 160​ 44.7 78​ 61.9
見守られへの心配 人づきあいが面倒 思う 83​ 23.2 36​ 28.6 0.227
思わない 275​ 76.8 90​ 71.4
他者からの干渉 思う 120​ 33.5 64​ 50.8 0.001
思わない 238​ 66.5 62​ 49.2
プライバシー 思う 65​ 18.2 23​ 18.3 0.981
思わない 293​ 81.8 103​ 81.7
相手のことを信頼できない 思う 39​ 10.9 18​ 14.3 0.310
思わない 319​ 89.1 108​ 85.7

χ2検定

※1 n=481 ※2 n=480 ※3 n=483 ※4 n=470 ※5 n=478

※6 多い;「困った時に助け合える」 ※7 少ない;「日常的に立ち話程度」,「あいさつ程度」,「付き合いはない」

2) 見守られたい相手との関連要因(表4
表4  見守られたい相手との関連要因(n=358)
近隣住民 町内会やボランティア 介護や保健医療の専門職 生活支援サービス 機器によるシステム
あり なし あり なし あり なし あり なし あり なし
n=179 n=179 n=140 n=218 n=200 n=158 n=24 n=334 n=81 n=277
% % p % % p % % p % % p % % p
個人属性 性別 男性(n=182) 51.6 48.4​ 0.526 41.2 58.8​ 0.407 54.4 45.6​ 0.569 7.7 92.3​ 0.447 22.5 77.5​ 0.964
女性(n=176) 48.3 51.7​ 36.9 63.1​ 57.4 42.6​ 5.7 94.3​ 22.7 77.3​
年齢 前期(n=186) 50.0 50​ 1.000 39.2 60.8​ 0.955 53.8 46.2​ 0.405 7.5 92.5​ 0.517 26.9 73.1​ 0.045
後期(n=172) 50.0 50​ 39.0 61​ 58.1 41.9​ 5.8 94.2​ 18.0 82​
世帯構成※2 一人世帯(n=82) 53.7 46.3​ 0.468 42.7 57.3​ 0.493 42.7 57.3​ 0.006 0.0 100​ 0.002 19.5 80.5​ 0.416
二人以上世帯(n=273) 49.1 50.9​ 38.5 61.5​ 59.7 40.3​ 8.8 91.2​ F 23.8 76.2​
家族※2 いる(n=324) 50.9 49.1​ 0.194 39.4 60.6​ 0.495 57.4 42.6​ 0.045 7.1 92.9​ 0.709 22.5 77.5​ 0.678
いない(n=31) 38.7 61.3​ 45.2 54.8​ 38.7 61.3​ 3.2 96.8​ F 25.8 74.2​
居住年数※3 35年以下(n=186) 48.9 51.1​ 0.632 38.7 61.3​ 0.838 55.4 44.6​ 0.885 5.4 94.6​ 0.289 22.6 77.4​ 0.959
36年以上(n=171) 51.5 48.5​ 39.8 60.2​ 56.1 43.9​ 8.2 91.8​ 22.8 77.2​
住居形態 一戸建て(n=306) 52.9 47.1​ 0.007 38.9 61.1​ 0.838 56.2 43.8​ 0.751 7.2 92.8​ 0.551 22.5 77.5​ 0.933
集合住宅(n=52) 32.7 67.3​ 40.4 59.6​ 53.8 46.2​ 3.8 96.2​ F 23.1 76.9​
暮らし向き※3 余裕がある(n=161) 52.2 47.8​ 0.486 41.0 59​ 0.533 55.9 44.1​ 0.956 8.7 91.3​ 0.177 20.5 79.5​ 0.370
余裕がない(n=196) 48.5 51.5​ 37.8 62.2​ 55.6 44.4​ 5.1 94.9​ 24.5 75.5​
主観的健康感 よい(n=250) 51.2 48.8​ 0.490 38.8 61.2​ 0.857 52.8 47.2​ 0.075 8.4 91.6​ 0.064 25.6 74.4​ 0.041
よくない(n=108) 47.2 52.8​ 39.8 60.2​ 63.0 37​ 2.8 97.2​ F 15.7 84.3​
通院状況 ある(n=289) 49.5 50.5​ 0.688 40.5 59.5​ 0.274 56.1 43.9​ 0.883 6.9 93.1​ 1.000 22.8 77.2​ 0.845
ない(n=69) 52.2 47.8​ 33.3 66.7​ 55.1 44.9​ 5.8 94.2​ F 21.7 78.3​
町内の人との交流 現在の交流 多い※5(n=67) 74.6 25.4​ <0.001 47.8 52.2​ 0.107 47.8 52.2​ 0.138 3.0 97​ 0.277 9.0 91​ 0.003
少ない※6(n=291) 44.3 55.7​ 37.1 62.9​ 57.7 42.3​ 7.6 92.4​ F 25.8 74.2​
望ましい交流 多い※5(n=155) 60.0 40​ 0.001 41.9 58.1​ 0.338 55.5 44.5​ 0.899 7.7 92.3​ 0.493 16.8 83.2​ 0.021
少ない※6(n=203) 42.4 57.6​ 36.9 63.1​ 56.2 43.8​ 5.9 94.1​ 27.1 72.9​
意図的な外出※1 する(n=166) 56.0 44​ 0.035 50.0 50​ <0.001 53.6 46.4​ 0.345 8.4 91.6​ 0.299 21.1 78.9​ 0.515
しない(n=179) 44.7 55.3​ 30.7 69.3​ 58.7 41.3​ 5.6 94.4​ 24.0 76​
見守られの現状 現在の見守られの有無※4 受けている(n=153) 62.7 37.3​ <0.001 48.4 51.6​ 0.001 50.3 49.7​ 0.041 5.2 94.8​ 0.311 14.4 85.6​ 0.001
受けていない(n=201) 39.8 60.2​ 31.3 68.7​ 61.2 38.8​ 8.0 92​ 29.4 70.6​
見守られへの期待と心配 見守られへの期待
日常生活の維持 思う(n=183) 52.5 47.5​ 0.341 42.6 57.4​ 0.163 65.0 35.0​ <0.001 9.3 90.7​ 0.045 23.0 77.0​ 0.880
思わない(n=175) 47.4 52.6​ 35.4 64.6​ 46.3 53.7​ 4.0 96.0​ 22.3 77.7​
早期対応 思う(n=256) 52.3 47.7​ 0.16 43.4 56.6​ 0.009 58.6 41.4​ 0.100 8.6 91.4​ 0.032 25.4 74.6​ 0.048
思わない(n=102) 44.1 55.9​ 28.4 71.6​ 49.0 51.0​ 2.0 98.0​ F 15.7 84.3​
安心感の獲得 思う(n=204) 54.9 45.1​ 0.033 48.5 51.5​ <0.001 59.3 40.7​ 0.131 9.8 90.2​ 0.009 21.6 78.4​ 0.582
思わない(n=154) 43.5 56.5​ 26.6 73.4​ 51.3 48.7​ 2.6 97.4​ F 24.0 76.0​
人とのつながり 思う(n=198) 59.1 40.9​ <0.001 50.5 49.5​ <0.001 53.5 46.5​ 0.323 8.6 91.4​ 0.113 26.3 73.7​ 0.067
思わない(n=160) 38.8 61.3​ 25.0 75.0​ 58.8 41.2​ 4.4 95.6​ 18.1 81.9​
見守られへの心配
人づきあいが面倒 思う(n=83) 39.8 60.2​ 0.033 28.9 71.1​ 0.030 55.4 44.6​ 0.926 7.2 92.8​ 0.827 32.5 67.5​ 0.014
思わない(n=275) 53.1 46.2​ 42.2 57.8​ 56.0 44.0​ 6.5 93.5​ 19.6 80.4​
他者からの干渉 思う(n=120) 40.8 59.2​ 0.014 33.3 66.7​ 0.112 66.7 33.3​ 0.003 10.8 89.2​ 0.027 31.7 68.3​ 0.004
思わない(n=238) 54.6 45.4​ 42.0 58.0​ 50.4 49.6​ 4.6 95.4​ 18.1 81.9​
プライバシー 思う(n=65) 53.8 46.2​ 0.493 49.2 50.8​ 0.064 69.2 30.8​ 0.016 7.7 92.3​ 0.783 32.3 67.7​ 0.039
思わない(n=293) 49.1 53.8​ 36.9 63.1​ 52.9 47.1​ 6.5 93.5​ F 20.5 79.5​
相手のことを信頼できない 思う(n=39) 41.0 59​ 0.235 46.2 53.8​ 0.339 59.0 41.0​ 0.679 15.4 84.6​ 0.022 35.9 64.1​ 0.036
思わない(n=319) 51.1 48.9​ 38.2 61.8​ 55.5 44.5​ 5.6 94.4​ 21.0 79.0​

χ2検定

F:Fisherの直接確率検定

※1 n=345 ※2 n=355 ※3 n=357 ※4 n=354 ※5 多い;「困った時に助け合える」 ※6 少ない;「日常的に立ち話程度」,「あいさつ程度」,「付き合いはない」

(1) 近隣住民から見守られたいこととの関連要因

有意な関連があったのは,個人属性では住居形態(p=0.007)であった.町内の人との交流では,現在の交流(p<0.001),望ましい交流(p=0.001),意図的な外出(p=0.035)であった.

見守られの現状では,現在の見守られの有無(p<0.001)であった.

見守られへの期待では,安心感の獲得(p=0.033),人とのつながり(p<0.001)であった.見守られへの心配では,人づきあいが面倒(p=0.033),他者からの干渉(p=0.014)であった.

(2) 町内会やボランティアから見守られたいこととの関連要因

個人属性ではすべての変数で有意な関連がなかった.有意な関連があったのは町内の人との交流では,意図的な外出(p<0.001)であった.

見守られの現状では,現在の見守られの有無(p=0.001)であった.

見守られへの期待では,早期対応(p=0.009),安心感の獲得(p<0.001),人とのつながり(p<0.001)であった.見守られへの心配では,人づきあいが面倒(p=0.030)であった.

(3) 介護や保健医療の専門職による見守りを受けたいこととの関連要因

有意な関連があったのは,個人属性では世帯構成(p=0.006),連絡を取る家族(p=0.045)であった.同じ町内の人との交流のすべての変数で有意差はなかった.

見守られの現状では,現在の見守られの有無(p=0.041)であった.

見守られへの期待では,日常生活の維持(p<0.001)であった.見守られへの心配では,他者からの干渉(p=0.003),プライバシー(p=0.016)であった.

(4) 生活支援サービスによる見守りを受けたいこととの関連要因

有意な関連があったのは,個人属性では世帯構成(p=0.002)であった.同じ町内の人との交流のすべての変数で有意差はなかった.

見守られへの期待では,日常生活の維持(p=0.045),早期対応(p=0.032),安心感の獲得(p=0.009)であった.見守られへの心配では,他者からの干渉(p=0.027),相手のことを信頼できない(p=0.022)であった.

(5) 機器によるシステムで見守りを受けたいこととの関連要因

有意な関連があったのは個人属性では年齢(p=0.045),主観的健康感(p=0.041)であった.町内の人との交流では,現在の交流(p=0.003),望ましい交流(p=0.021)であった.

見守られの現状では現在の見守られの有無(p=0.001)であった.

見守られへの期待では,早期対応(p=0.048),見守られへの心配では,人づきあいが面倒(p=0.014),他者からの干渉(p=0.004),プライバシー(p=0.039),相手のことを信頼できない(p=0.036)であった.

IV. 考察

1. 高齢者の見守られの現状

現在,見守られていると回答した高齢者は約3割であった.そのうち,見守られている相手は近隣住民が70.7%で最も多く,生活支援サービスや機器によるシステムによって見守られている人は1割未満であった.近隣住民は,高齢者の日常生活における支援者として,親戚よりも割合が高い(河合ら,2013)ように,高齢者にとって,近隣住民の存在は地域で生活をしていくうえで大きな役割を担っていると考えられる.また,先行研究においても見守りサービスの利用率は2割と少なく(小池ら,2013),不安を自覚している一部の人が,サービスや機器によるシステムの見守りを活用していると考えられる.

一方,見守られていない人は,日常生活が維持できているという理由が最も多かった.高齢者が日常生活を維持することができると考えているうちは,見守りは不要に思っているといえる.見守られの現状は,人的な方法が主流であり,見守られていない人が多数であると考えられる.

2. 高齢者の見守られ意向および見守られたい相手

1) 高齢者の見守られ意向

本研究において,74.0%の高齢者が現在もしくは将来,または時期はわからないが見守りを受けたいと考えていた.特に,一人暮らしの人が見守りを受けたいと思っていた.高齢者には安否確認をしてもらいたいという意識(久富ら,2016)があることから,高齢者は一人での生活に不安を抱いているため,見守りを受けたいと思っていると推察される.

一方で,見守られたくない人も26.0%いた.見守りを受けたくない人は,同じ町内の人との交流が少なく,他者から干渉されることを心配に思っていた.都市部では生まれや婚姻関係によって必然的に組み込まれてしまう役割や人間関係ではなく,自分が主体的に選んだ人間関係,すなわち選択縁の中で生きている(松岡,2003)ことからも,地縁的で浅い関係性の人から,自身の生活に踏み込まれたくないと思っていると考えられる.

2) 見守られたい相手

高齢者が見守りを希望する相手は,近隣住民および町内会やボランティアの地域住民,生活支援サービスや機器によるシステム等の民間企業,介護や保健医療の専門職の大きく3つに傾向が分かれた.

地域住民に見守られたい人は,安心感の獲得と他者とのつながりを期待していた.また,地域住民から見守られたい人は,自身のことを気にかけてもらうために意図的に外出していた.高齢者が地域で出会う人は,高齢者のwell-beingを高め,高齢者が自立し,地域で生活することを支える役割がある(Wenger,1990)ことが明らかになっている.住民から見守られたい人は,自ら人とのつながりを持つよう努め,自分らしく自立しながら安心して生活したいと思っていると考えられる.高齢者は見守りのための地域の交流のありかたとして,昔のような交流と地域参加,住民同士が交流できる機会を望んでおり(久富ら,2016),高齢者が安心して暮らすためには地域の支えが必要であると考えられる.

一方で,民間企業のサービスやシステムで見守られたい人は,早期対応を期待し,他者に干渉されることや見守り相手を信頼できないこと等を心配に思っていた.先行研究において,見守りサービスによって見守られたい人は,将来見守りが必要になった時には,高齢者自身の要望に応じた方法で見守られたいと考えていた(太田ら,2013).本研究の対象者も同様に,現在見守られる必要はまだないが,必要となった時には自分の都合に応じて見守られたく,地域住民との関係にわずらわしさを感じていると考えられる.

以上のことから,高齢者は見守る側との関係性のもと,どの程度自身を把握されても良いと思っているかという自己のプライバシーの開示と,見守られへの期待および心配によって,見守られたい相手を決めていると考えられる.大都市は,人の流動性が大きいことや集合住宅が多いことから,地縁によるつながりが弱く,フェイス・トゥ・フェイスのつきあいが少ない等,人間関係の希薄化が進行している(上野,2009).民間企業の契約に基づく見守りでは,希薄な関係の中でも見守りは可能であると考えられる.しかし,対応できない限界があることや,機器を設置する自治体の費用負担や高齢者の利用費用負担,機器のメンテナンスや運用,第一次通報先の選定等の多岐にわたる課題がある(伊藤ら,2011)ことからも,すべての高齢者が利用できるとは限らない.異常に早期に気づくのは近くにいる住民でなければできない(厚生労働省,2016)ことからも,地域において住民同士による見守りが必要であるといえる.大都市において,住民同士が関係を築き,日々の生活の中で見守り合えることや,さりげない確認等,深いかかわりを持たなくとも異常に気づけることが,高齢者の望む見守りであると考えられる.

提言

近隣住民と町内会やボランティアを含めた地域住民から見守られたいと思っている人が最も多かったことから,高齢者は住民による見守りを基本とし,その他の方法で補完する見守り体制を望んでいると考えられる.住民による見守りを推進するためには,住民が見守りを意識化できるよう,見守りを必要とする高齢者の把握,共有できる仕組みづくりをすることや,異常の気づきを相談,あるいは連絡できる通知先を住民に周知することが重要であると考えられる.

他方,見守られたくない人が26.0%いたことから周囲の人が高齢者に気づかれないようなさりげない見守りを行うことや,高齢者へ見守り理解の促進が必要であると考えられる.また,生活支援サービス等により,高齢者の生活に取り入れやすい方法を高齢者が選択,活用できる体制を整えることが必要である.

今後,地域における高齢者の見守りは多様化すると推察される.専門職は,直接的なケアを提供することで高齢者の生活を支えると同時に,各見守りの活動主体および高齢者の橋渡し役となり,地域における見守り体制を整備することが求められると考えられる.

見守りが高齢者にとって有益であり,心配と思うことが最小となることで,高齢者が地域で安心して生活できるための見守りにつながると考えられる.

3) 本研究の意義と限界

本研究は,見守られる側の高齢者に焦点を当て,高齢者自身の見守られることに対する意識を明らかにすることができた.また,各見守り実施主体に対して高齢者が期待および心配していることを明らかにしたことで,今後の見守りのあり方を考える際の一助となる.しかし,本研究は,対象地区が限られていることや,研究者の枠組みで高齢者の考え方に基づいた意識を調査していない点も限界である.今後の課題は,異なる対象地区を対象とすることや,高齢者の見守られることに対する意識を質的に分析することである.

なお,本研究は平成28年度北海道大学大学院保健科学院修士論文の一部に加筆修正したものであり,結果の一部を第5回日本公衆衛生看護学会学術集会で発表した.

文献
 
© 2017 日本公衆衛生看護学会
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