日本公衆衛生理学療法雑誌
Online ISSN : 2189-5899
ISSN-L : 2189-5899
沖縄県健康長寿地域の高齢者の血管機能と身体活動歴の関連性
木村 朗
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2017 年 5 巻 2 号 p. 10-17

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抄録

長寿地域の沖縄県大宜味村住民において身体活動特性が、いつ頃形成されたものか、その生成歴に注目し、ナラティブなデータを収集し、その活動歴の中の特徴と血管機能の関連性を調べることを目指した。本研究の研究疑問は長寿地域として知られる、「大宜味村の高齢者において子どもの頃から青年期、中年期、初期高齢期にいたる、身体活動の経験(語りテキストデータ)から導かれた身体活動嗜好性因子は血管硬度に影響を与えるか」であった。目的は松崎の提唱したR90の仮説に基づいて、経年的、累積的身体活動の語りデータに存在する単語の頻度が血管機能の良否との関連性を示すか否かを明らかにすることであった。対象と方法は、研究デザインはレトロスペクティブ調査研究および横断研究であった。エンドポイントは、血管機能の異常(baPWV>1800)および肥満(BMI>25)と関連するナラティブデータ収集の可否とした。アウトカムは住居エリア・年齢・身長・体重・生活習慣病の有無、bawd、ABI、半構造インタビューによるボイスレコーディングのテキストデータであった。結果、baPWVのリスクのない集団における、身体活動歴に関するテキストデータの特徴は運動という単語の頻出が最多であり、次に回答という言葉を述べた頻度が多く、baPWVのリスクのある集団における、身体活動歴に関するテキストデータの特徴は運動という単語の頻出が最多であり、次に子供という言葉を述べた頻度が多かった。本研究の結論として、大宜味村で生活する高齢女性の身体活動歴に関する語りにおける、運動に対する意識は血管機能のリスクの有無に対して、共通して高く、有意な影響力を示した。語りデータにおいて、運動以外の単語の影響は認められなかった。

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© 2017 日本公衆衛生理学療法研究会
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