日本公衆衛生理学療法雑誌
Online ISSN : 2189-5899
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第3回 日本公衆衛生理学療法学術集会報告
野口 雅弘
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2017 年 5 巻 2 号 p. 8-9

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抄録

第3回日本公衆衛生理学療法学術大会が品川から上野に移転した京都大学東京オフィスにおいて、平成29年9月13日(土)に開催されました。参加者の方々は、医療機関、行政機関、教育機関などの様々な分野の理学療法士が集まっており、さらに年代もベテラン、中堅から大学を卒業したばかりの若手まで参加されておりました。  学術大会では、木村朗先生から2015年度の研究会活動の報告がなされ、研究会誌のデータベース収載の経過、研究会の今後の展望、2018年国際環境複合要因学会との合同開催についての説明があり、公衆衛生と理学療法、リハビリテーションのつながりと重要性が確認されました。研修講座としてヘルスリテラシーと理学療法、という公衆衛生と英国連邦の理学療法の新たな行動目標の関係について木村先生がご提示されました。  研究発表では、まず鳥毛正弘先生による、「要介護高齢者における 血圧の日内変動の差が及ぼす PWV異常性の探索的検討」、発表がありました。さらに、田辺将也先生からは高齢者の「楽しみ」の構造の分析から公衆衛生理学療法への展望として「施設利用高齢者における脈波伝搬速度(PWV)の悪化を発見する動作パフォーマンスの検討」の発表がありました。最後に、木村朗先生から、「沖縄県大宜味村における血管機能良好者の身体動作における人間特性の傾向」という研究の報告がありました。全ての発表が、今後の公衆衛生理学療法学という分野を考えていく上で興味深い内容であったと思います。発表には、参加者からも様々な質問や意見がなされ、大変有意義な意見交換ができたと思います。  さらに「利用者利益の視点に基づく公衆衛生における理学療法、理学療法サービスはいくらなのか?世界最大の理学療法クリニックセンターができたバンコクのフィールド調査から」というテーマでの木村朗先生の特別講演がありました。内容は、世界最大の規模である、タイの国立大学付属理学療法センターにおける理学療法の値段という、コストベネフィットの視点から、医療経済学的視点の重要性を教えていただきまいた。今後の地域包括ケアの導入において公衆衛生学的視点でコスト意識を持つことの意味を考えるきっかけになりました。  最後には、参加者同士で名刺交換を通した交流も行われました。今後の理学療法を担っていく将来有望な先生方と交流が図れた事は大変有意義な機会となりました。

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