日本植物病理学会報
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支那産稻菌核病に關する研究
第1報 稻褐色菌核病菌の形態竝に病原性
遠藤 茂
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1940 年 10 巻 1 号 p. 7-15

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抄録

1. 本報告に於ては支那産稻褐色菌核病菌(Sclerotium Oryzae-sativae SAWADA)の分布,形態竝に病原性に就き報告した。
2. 稻褐色菌核病菌を馬鈴薯煎汁寒天培養基にて28℃に21日間培養して形成せしめた成熟菌核の大さは厦門産菌は266.60-1666.25×266.60-1199.70μ,平均は長徑741.981±12.674μ,短徑585.354±8.295μ,丹桂村産菌は333.25-1732.90×266.60-1466.30μ,平均長徑784.137±13.060μ,短徑572.520±8.635μ,灰沙圍産菌は266.60-1466.30×266.60-1333.30μ,平均長徑731.317±14.193μ,短徑547.696±9.327μである。
3. 稻褐色菌核病菌の菌核構成細胞は成熟菌核の内部層に就き其の大さ測定した結果は厦門産菌は11.10-28.86×11.10-26.64μ,平均長徑20.468±0.357μ,短徑17.716±0.341μ,丹桂村産菌は11.10-24.42×11.10-22.20μで,平均長徑18.559±0.366μ,短徑16.583±0.357μ,灰沙圍産菌は13.32-28.86×11.10-28.86μ,平均長徑20.091±0.366μ,短徑17.227±0.333μである。
4. 三井神力種に對する病原性の強弱は系統によつて差異があり,灰沙圍産菌最も強く,厦門産菌,丹桂村産菌の順序に弱い。厦門産菌と丹桂村産菌との差は僅少である。

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