日本植物病理学会報
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追悼文
原著
  • 白上 典彦, 森田 剛成, 軸丸 祥大, 須川 瞬, 薬師寺 博
    2022 年 88 巻 2 号 p. 91-97
    発行日: 2022/05/25
    公開日: 2022/05/31
    ジャーナル 認証あり

    「励広台1号」は,イチジク栽培品種と近縁野生種であるイヌビワとの種間交雑体から得られた系統にイチジク栽培系統を戻し交雑したBC1系統群から選抜された品種である.「励広台1号」はイチジク株枯病に対する抵抗性を有し,イチジク株枯病抵抗性台木としての利用が期待されている.本病抵抗性のメカニズム解明の端緒として,有傷接種したイチジク株枯病菌の「励広台1号」樹体内での伸展を,qPCRを用いて調査した.イチジクの主要な栽培品種である「蓬莱柿」を対照区に用いた.接種後1~9の各日,30日,90日および180日において,接種部位,接種部位より2 cm上部,接種部位より4 cm上部からサンプリングを行った.qPCRの結果,「励広台1号」におけるイチジク株枯病菌のDNA検出量は「蓬莱柿」と比較して抑えられた.接種後29日目には「蓬莱柿」の枯死率は100%となったが,接種後180日までの期間中「励広台1号」の枯死個体は確認されなかった.これらの結果は,「励広台1号」がイチジク株枯病菌の移動と増殖を防ぐ抵抗性メカニズムを有していることを示唆している.

  • 木村 重光
    2022 年 88 巻 2 号 p. 98-104
    発行日: 2022/05/25
    公開日: 2022/05/31
    ジャーナル 認証あり

    2021年,京都府内でトマト退緑ウイルス(tomato chlorosis virus, ToCV; クリニウイルス属)によるトマト黄化病の発生が確認され,京都府内のトマト産地において本病の被害が発生している.一般にToCVはコナジラミ類によって媒介され,機械的接種では伝染しないと考えられていた.ToCVや他のコナジラミ類媒介性のトマトのウイルスの防除方法開発は,手間のかかる虫媒伝搬法に多くを依存しているため,汁液を用いた効率的で信頼性が高い機械的接種方法の開発が望まれる.そこで,本研究では歯ブラシを用いた新しいToCV機械的接種方法の開発を試みた.ToCV感染葉を4倍容量の0.1%(v/v)2-メルカプトエタノール加用リン酸系緩衝液中で磨砕し,カーボランダムを添加した後,汁液を歯ブラシに浸し刺傷接種を行った.本法によるToCVの接種によって,接種後17日程度でトマトに特徴的な黄化症状を伴う病徴が現れ,発症株ではいずれもOne-step RT-PCRによりToCV感染が確認された.検討の結果,磨砕には100 mMリン酸カリウム緩衝液(pH 7.0)が適していると考えられ,その場合のToCV感染率は81.0%であった.以上,筆者の知る限り,本研究結果がToCVの汁液伝染を確認した最初の報告である.

  • 井手 洋一, 冨田 恭範, 大谷 徹, 宮崎 英一郎, 田代 暢哉
    2022 年 88 巻 2 号 p. 105-114
    発行日: 2022/05/25
    公開日: 2022/05/31
    ジャーナル 認証あり

    生育初期のナシ黒星病の防除に使用するジフェノコナゾール水和剤に,保護殺菌剤を混用した場合の防除効果を調査し,メタアナリシスにより評価した.複数年にわたる異なる地域,圃場での試験結果を統合解析した結果,ジフェノコナゾール水和剤に有機銅水和剤,ジラム・チウラム水和剤を混用した場合の防除効果は,ジフェノコナゾール水和剤単用に比べて低下した.一方,ジフェノコナゾール水和剤にイミノクタジンアルベシル酸塩水和剤を混用した場合,ジフェノコナゾール水和剤単用の場合の6割程度にまで発病が少なくなると推定された.

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