日本植物病理学会報
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原著
  • 稲垣 公治, 荒川 征夫
    2021 年 87 巻 2 号 p. 65-71
    発行日: 2021/05/25
    公開日: 2021/06/09
    ジャーナル 認証あり

    イネの紋枯病(病原菌:Rhizoctonia solani AG-1 IA)は世界の稲作地帯に広く発生し,その収量や品質に大きく影響を及ぼしている.この紋枯病を対象として,水田雑草のイヌタデ とヒメタイヌビエから分離した弱病原性2核Rhizoctonia属菌(BNR)sfw-21とsfw-26の2菌株を用い,微生物防除資材としての可能性を検討した.BNR 2菌株をPSA培地上で4日間培養し,菌叢上にイネ籾(品種:あいちのかおり)を0(対照区:無接種区),6,12,24,48時間置くことによりBNRの接種を行い,BNR接種籾を作成した.このBNR接種籾を発芽・育成したイネの出穂期に紋枯病菌を接種し,登熟期に紋枯病の発病茎率と病斑高率を調べた結果,BNRの接種時間が 0–12時間区では,それぞれ73~99%,12~23%と高率であったが,24–48時間区では6~13%,1~2%と低下した.正常籾由来イネの最高分げつ期にBNRを接種して紋枯病菌を出穂期に接種した場合も,BNR接種区は発病茎率は5~7%,病斑高率は1%であり,対照区(BNR非接種イネ)のそれぞれ99%,23%と比べて著しく低下した.BNRの接種によるイネ生育への影響を調べるために,BNR接種籾由来のイネの生育初期に幼苗の大きさ,登熟期にイネの草丈および収量構成4要素について調査した結果,いずれの値も,対照区(正常籾)由来イネの値とは,一部の例外を除き差がなかった.以上の結果,弱病原性のBNRの接種はイネの初期生育や収量構成要素に大きな影響を及ぼすことなく,紋枯病菌発病を抑制することが判明し,紋枯病防除のための微生物資材としての有効性が示唆された.

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