日本植物病理学会報
Online ISSN : 1882-0484
Print ISSN : 0031-9473
ISSN-L : 0031-9473
ワラビのCryptomycina菌に因る捲縮病に就いて
飯塚 慶久
著者情報
ジャーナル フリー

1942 年 12 巻 2-4 号 p. 246-249

詳細
抄録

ワラビの若い葉に寄生して捲縮病を起す本邦新報知菌Cryptomycina Pteridisに就いて略述した。
本菌はSystemicな性質を有し,病斑は最初葉の裏面に於いて葉脈に境せられて黄緑色となり,表面はボート型に膨起する。後變色部に褐色斑點が現はれ,遂に黒痣を無數に散生する樣になる。
子嚢はPseudotheciumに形成され,無柄にして8ケの胞子を藏し64×14μある。
子嚢胞子は卵形,楕圓形,或は圓形に近く單胞,無色8~12×6.5μある。
分生胞子は圓筒形或は紡錘形,無色,單胞で兩端に於いて細まり,眞直か1方に彎曲する。大さ7~16×2~5μ,小型分生胞子は6~8×1.5μ,で兩端は尖つて居る。子嚢胞子に依る接種は5月半より6月に亘り,分生胞子の場合は6月より11月の間に行はれる。越冬は子嚢型で行はれるがSystemicな場合が少くない。

著者関連情報
© 日本植物病理学会
前の記事
feedback
Top