日本植物病理学会報
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諸種の露菌科菌類の植物體侵入法に就て
岩田 吉人
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1942 年 12 巻 2-4 号 p. 97-108

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抄録

1. 本實驗に於ては8種のPeronospora屬菌(ハクサイ,コマツナ,アブラナ,タイサイキヤベツ,カブのP. Brassicae,ナヅナのP. parasitica,セイヤウフウテフサウのP. sp.,ノミノフスマのP. Stellariae-uliginosae,ヤハズエンダウのP. Viciae sativae,アカザのP. variabilis,ハウレンサウのP. SpinaciaeタビラコのP. Trigonotidis), 1種のBremia屬菌(キツネアザミのB. Saussurae), 2種のPlasmopara屬菌(エビヅルのP. viticolaミツバのP. nivca) 1種のPseudoperonospora,屬菌(カナムグラのP. Humuli)を用ひ其等を寄主植物及一部は更に其他植物の葉の裏面に接種し其の侵入部位を檢した。
2, Peronospora屬菌は何れも主として表皮細胞縫合部より侵入する。菌により又同一菌でも供試植物により氣孔侵入及表皮細胞膜の直接侵入を全く認めなかつたが其兩者又は一方を稀に認めたものもあつた。唯コマツナ上のP. Brassicaeをキヤベツに接種した場合氣孔侵入を18.7%も認めた場合があつた。
3. コマツナ上Peronospora Brasiicaeのコマツナ,キヤベツに對する穗入部位と供試葉蝋質の有無の關係を檢したるに侵入部位は蝋質の有無により相異しなかつた。又P. Brassicae, P. variabilis, P. Spinaciaeの侵入部位は其供試寄主葉の成葉なると幼嫩なるとに關らず同樣であつた。
4. Bremia Saussuraeは其寄主植物に對し主として表皮細胞縫合部より侵入するが氣孔侵入も相當數認められた。併し表皮細胞膜の直接侵入は全く認めなかつた。
5. Plasmopara屬菌, Pseudoperonospora屬菌は何れも氣孔侵入のみを行つた。

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